鮫島が雄美の頭を抱いて語りかけた。
「オレは、ずっと自分がゲイだと思っていた。しかし……もしかしたら、お前のような女を求めていたのかもしれない。男以上に逞しく、身体と身体、力と力、全力でわかりあえる女を……」
 雄美は鮫島の言葉に黙って耳を傾けていた。すると、ついに告げられたのだ。
「女でもいい。お前が好きだ!」
 まるで奇跡のような瞬間。
「コーチ! わたし……わたし……。嬉しいっ!!」
 雄美は思いっきり抱きつき、鮫島の胸に顔を埋めた。
「強化選手なんかにならなくていい。これ以上お前が大きくなってしまったら、こうして二人で楽しむことなんか出来なくなってしまう。国へ帰ろう。オレと暮らしてくれ」
「え……?」
「絶対、幸せにしてやる!」
 雄美は耳を疑った。しかしどうやら、これは夢ではないようだ。
「は……はい、コーチ!」

 強化選手としての雄美の物語はここで終わる。だが彼女にはこれからまだ、長い長い、べつの物語が用意されているはずだ。
 異色のカップルとして人目を引くことは避けられそうにないが、彼女ならきっと、幸せをつかむことが出来ることだろう。

第4話 鬼頭雄美──片恋〈完〉